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技術コラム

非破壊検査の原理

レントゲンなどのX線を使って撮影した画像を見るとモノクロです。
この色の濃淡は、X線の透過量に起因しています。

X線は物質を透過する

X線は、波長が非常に短い電磁波です。その為、物質を構成する原子と原子の間を通り抜けることができます。ただ、すべてのX線がそのまま通り抜けて来る訳ではなく透過する際に減衰します。X線が原子核のまわりを回る電子と当たると様々な相互作用(光電効果・特性X線放射・非弾性散乱など)が起きます。そういった現象の起きなかったX線が直進し、透過X線となり、その線量が多いほど明るく白くうつります。逆に減衰した部分は暗く黒く映ります。

透過してくるX線の強さ

一般的に透過X線の強さは、次の要素により決まります。

(1)原子番号と密度の大きいものほど、X線を遮蔽する。
→「同じ厚みで、材質を変えたときのX線画像の変化」(※( )内の数字は原子番号です)。

X線画像の変化のイメージ図です。

(2)厚みがあるほど、X線を遮蔽する
→「同じ材質で、厚みを変えたときのX線画像の変化」

X線画像の変化のイメージ図です。

(3)管電圧(V)・管電流(A)によって決まる照射X線強度

管電圧を上げればX線の波長が短くなり、透過し易くなります。試料の材質(例えば、Al[原子番号13]またはFe[原子番号26])によって透過に必要な管電圧の値は異なってきます。管電流を上げれば発生するX線量が増え、強度が上がりますが、波長は変わらないので管電流をいくら上げても、透過していない物を見ることは出来ません。見たい物に合わせて最適な2つの条件(管電圧・管電流)を決めていく事が鮮明なX線画像を撮るポイントになります。

観察システム

X線観察は、影絵を考えるとわかり易くなります。下図は、一般的なX線撮像システムの概略図です。

X線発生部とイメージ管の間にワークを置く事で、X線が遮蔽され影が生じ、X線カメラでその影を拾ってX線像を得ます。その時の幾何像倍率は、X線発生部からワークまでの距離 l1 と発生部からX線カメラまでの距離 l2 によって、次のような関係になります。

像倍率はl1ぶんのl2です。

したがって、 l2 を一定に保ってX線発生部にワークを近づけると幾何像倍率は高くなります。逆に離していくと幾何像倍率が低くなる分、視野の広い画像を撮ることができます。

観察例1― 製品の構造解析、異物検出

ハンダ不良によるショートなど

観察例2― 製造中のボイド(鋳巣・空気の層)検出

ハンダブロホールなど