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用途・事例

RF電源とは?

RF電源とは、Radio Frequency(無線周波数)の高周波で電流を供給できる電源です。RFパワーアンプ(海外では、RF power amplifier、high frequency power supply、microwave power amplifier)などとも呼ばれています。主に半導体製造プロセスで使用されるプラズマ生成に使用されます。このプラズマは、エッチングやスパッタリングなど半導体の表面処理や成膜を行うために用いられます。

RFパワートランジスタのイメージ|松定プレシジョン

RF電源の周波数は?

RF電源は、kHzからGHzオーダーの周波数を発生します。しかし、放送用以外の用途では、電波法により、13.56MHzや2.45GHz(電子レンジで使われている周波数)に制限されています。また、使用に際しては届出や許可など必要な場合があります。
詳しくは、高周波利用設備に関するFAQをご覧ください

RF電源の仕組みは?

RF電源の基本的な構成要素には、発振器とDC電源、トランジスタ、マッチング回路があります。

発振器

発振器はRF信号の周波数を生成します。産業用では13.56MHzの周波数が主に使われています。

DC電源

DC電源は、トランジスタを動作させるバイアス電圧と電流を供給します。100Vくらいまでの可変直流電源が使われます。電流や電力は用途に応じて数百ワット、数キロワットや数十キロワットなど様々です。

トランジスタ

RFパワーアンプは通常、増幅素子としてトランジスタを使用します。
一般的に使われるトランジスタの種類を次に示します。

LDMOS(横方向拡散金属酸化物半導体):

利点: 高い電力処理能力と効率性があり、RFアプリケーションに適しています。MOSFET と BJTの利点を兼ね備えています。
機能: 高出力RFアンプでよく使用され、高周波数で効果的にスイッチングできます。

LDMOSデバイスの製造会社
Ampleon: https://www.ampleon.com/
NXP Semiconductors: https://www.nxp.com/
Infineon Technologies: https://www.infineon.com/
STMicroelectronics: https://www.st.com/
Integra Technologies: https://www.integratech.com/
MACOM: https://www.macom.com/
Wolfspeed (formerly Cree): https://www.wolfspeed.com/
Qorvo: https://www.qorvo.com/
Analog Devices: https://www.analog.com/
Microchip Technology: https://www.microchip.com/

MOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ):

利点: 高速スイッチング、優れた熱安定性、高効率。高速スイッチングを必要とするアプリケーションでよく使用されます。
機能: オン/オフが高速で、電流の流れを制御し、DC電圧を高周波AC波形に効果的に変換します。

GaN(窒化ガリウム)トランジスタ:

利点: 優れた効率、高いブレークダウン電圧、非常に高速なスイッチング速度。これらの特性により、GaNは高周波アプリケーションで人気が高まっています。
機能: 最先端の電源に使用されるGaNデバイスは、高周波(最大数GHz)に対応し、従来のシリコンベースのデバイスと比較して高い電力密度を実現できます。

マッチング回路(マッチング・ネットワーク)

負荷とのインピーダンス整合を行います。

動作原理
入力段:RF信号をトランジスタの入力(MOSFET/LDMOS/GaNのゲート)に印加します。
増幅:トランジスタは、電源からの直流電力をRF電力に変換することで入力信号を増幅します。
出力段:増幅された信号は出力(MOSFET/LDMOS/GaNのドレイン)に送られます。
マッチング・ネットワーク:入出力マッチング・ネットワークは、最適な電力伝送と負荷とのインピーダンス・マッチングを最適化します。
バイアス:DCバイアス回路は、適切な増幅のためにトランジスタの動作点を設定します。
効率
最近のRF電源では、高効率RFアンプの採用により、電力変換効率の向上と省エネルギー化が図られ電力変換効率が90%以上に達するものもあります。電力の変換効率向上により、発熱が抑えられ冷却の負担が減り小型軽量化が進んでいます。
また、高速オートマッチング機能の内蔵により、負荷の変動に対して迅速に対応し、反射電力を最小限に抑えることで効率を維持したり、出力電力要件に基づいて直流電源電圧を調整するダイナミック・パワー・マネージメントで、効率を大幅に改善できます。
課題
• 放熱:高出力動作はかなりの熱を発生するため、効果的な熱管理が必要です。
• リニアリティ(直線性):高い効率を達成しながらリニアリティ(直線性)を維持することは、特に最新の変調方式にとって重要な課題です。
• 安定性:不要な振動を防ぎ、さまざまな条件下で安定した運転を確保することは非常に重要です。
• 高調波の抑制:RF信号の高調波成分を抑制し、-35dB以下に保つ必要があります。
• 信頼性の向上:半導体製造装置などの重要なプロセスに使用されるため、高い信頼性が要求されます。

これらの課題に対して、RF回路設計の最適化、高性能な半導体デバイスの採用、デジタル制御技術の活用などにより、RF電源に必要とされる高い出力電力、効率、リニアリティ(直線性)の継続的な改善が図られています。また、装置メーカーとしての経験やノウハウを設計にフィードバックすることで、実用性の高いRF電源の開発が進められています。

RF電源の用途は?

RF電源は、科学、工業、通信、医療の分野で利用されています。

  • 半導体製造装置用プラズマ電源向けパワーアンプ プラズマ発生器(Plasma generators)
  • 磁気共鳴画像診断装置(MRI systems)
  • CO2レーザ励起(CO2 lasers)
  • 産業用の加熱、溶接、霜取り
  • シンクロトロン(Particle accelerators)
  • 航空電子機器、レーダー Lバンド、Sバンドのレーダー向けパワーアンプ(UHF radar)
  • 放送送信機向けパワーアンプ(Broadcast)
  • 公共無線機用パワーアンプ
  • 携帯基地局向けのパワーアンプ
  • FM & TV放送 FM radio VHF TV
  • HF & VHF通信
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