Search waiting|松定プレシジョン

検索中...

用語集

コンディショニングとは、X線管や電子銃、イオン銃、その他の真空管など電子管の製造工程や使用時における重要なプロセスです。X線管では、未使用期間の長さに応じて、電圧を徐々に上げて破壊的な放電を防ぐ慣らし運転をコンディショニングと呼びます。コンディショニングは、他にも、シーズニング(慣らし期間)、エージング、ウォーミング、ブレークインタイムと呼ぶ場合もあります。X線管の内部は真空ですが、使わない期間に内部表面から残留ガスが放出され蓄積されます。コンディショニングを行わずに最大電圧を印加すると、電離ガス中の高電圧アーク放電によりX線管が損傷して使えなくなる場合があります。

コンディショニングの時間
コンディショニングの時間|松定プレシジョン

コンディショニングは、X線管の破壊的な損傷を防ぎ、X線管の安定や長寿命化に役立っています。
X線装置の未使用期間が長いと、コンディショニングにも時間がかかり、装置を使用するまでに時間を要します。

コンディショニングの手順(X線管使用前のウォームアップ手順)

一般的なコンディショニングプロセスの例を示します。
ただし、X線管の取扱説明書に記載されている場合は、その手順に従って下さい。X線管の種類や用途によって手順が異なる場合があるのでご注意下さい。

  1. 定格電圧で最も低い管電圧に設定し、管電流は0mAに設定し、X線管に電圧を印加する。
  2. 管電流が0mAで安定するまで待ちます。安定状態でしばらく維持します。維持する時間は未使用期間に応じて0分から数十分程度
  3. 管電流を定格の10%に調整します。電流が安定するまで待ち、この設定をしばらく維持します。維持する時間は未使用期間に応じて1分から5分程度。フィラメントが切れている場合は、電流が流れません。
  4. 管電圧を、5段階や10段階もしくは5kVづつ定格電圧の50%まで上昇させます。各ステップ毎に電圧、電流が安定するまで待ちその状態で、しばらく維持します。維持する時間は未使用期間に応じて1分から5分程度。
  5. 管電流を定格電流の50%にし、安定するまで待ち、しばらく維持します。維持する時間は未使用期間に応じて1分から5分程度。
  6. 管電圧を、5段階や10段階もしくは5kVづつ定格電圧まで上昇させます。放電が発生した場合や、管電流が不安定な場合や放電が発生する場合は、ひとつ前のステップに戻します。ステップ毎に管電流が安定した状態でしばらく維持します。維持する時間は未使用期間に応じて1分から5分程度。
  7. 最大定格電圧の状態で、管電流を最大定格電流まで上昇させます。このフルパワーの状態でしばらく維持します。維持する時間は未使用期間に応じて1分から10分程度。
  8. X線出力を停止し、コンディショニングを完了させます。

保持時間やステップの間隔などは、未使用期間を数日内、数週間内、数か月内、数か月以上などに分類し、設定します。

コンディショニング手順の例(100kV 100mAの管)
ステップ 管電圧 管電流 24時間 数日以内 数週間以内 数か月間以内 数か月間以上
1 20 0 0 0 1 5 10
2 20 10 0 1 1 2 5
3 30 10 0 0 1 2 5
4 40 10 0 0 1 2 5
5 50 10 1 1 1 2 5
6 50 50 0 0 1 2 5
7 60 50 0 1 1 2 5
8 70 50 0 0 1 3 5
9 80 50 0 1 1 3 5
10 90 50 0 0 1 3 5
11 100 50 1 1 1 3 5
12 100 100 1 1 2 5 5
合計時間 - - 3 6 13 34 65
保持時間(分)

コンディショニングの条件は、X線管の使用方法(連続使用/パルス使用)やコントローラの制御方法などにより適切な方法や時間が異なります。電圧の間隔を細かくし、管電圧、管電流の変動を監視しながら保持時間を短くする方法もあります。

電子管の製造プロセスでは、コンディショニングを「バーンイン」と呼ぶ場合もあります。製造プロセスでは、数百時間かけて管を安定化させたり、性能の検査を行います。製造時には、通常の加速電圧(高電圧)以上の電圧を印加し、使用時の動作が安定するように検査・調整されます。
他にも、Schottky field emission gun(FEG)を使ったSEMなどもエミッター交換時などにコンディショニングを行います。

松定プレシジョンのX線検査装置は、このコンディショニングプロセスを自動化し、装置の性能を最大限に発揮しX線管をより永くご使用いただけます。