総合電源メーカー松定プレシジョンが、直流電源を永く、安全に使うための「設置・配線」について解説します。
据え付け
直流電源を末永くご使用していただくには正しい据え付けが大切です。
設置条件
- 電源本体は水平に置いて使用してください。
- ホコリや腐食性ガス等が多い場所での使用は避けてください。
- 密閉したキャビネットなどに設置したり、吸気孔・排気孔からの排気熱が戻ることがないように、強制排気などの処理をしてください。(各電源のカタログもしくは取扱説明書の指示に従ってください。)
- 結露を起こすような場所には設置しないでください。
設置方法
ラックマウントタイプの電源をラックに取り付ける時は、フロントのみでの固定は避け、必ず電源底面にLアングルなどの支えを用意してください。
寿命
電源の寿命は周囲温度が10℃上昇する毎に半分になります。
(電源寿命はおおよそ20℃を基準としています。)
STOP!寿命を縮めるこんな使い方
熱
狭いところや密閉されたところは熱がこもりやすいので高温になり、寿命が短くなります。
また、吸排気面をふさぐと電源は内部温度が上昇して寿命が短くなります。
放熱スペースは、吸気口から10cm以上
排気口から30cm以上確保してください。
ほこり
ホコリの多いところや床に近い場所に設置すると、ホコリを吸い込んで内部にたまり、性能が低下したり寿命が短くなります。
負荷の接続
直流電源の本来の性能をフルに引き出すには、正しい接続やグラウンドの取り方などが大切です。
- 十分な太さのリード線を短く接続してください。
- 使用電圧に十分耐えるPVC電線(105℃)を使用してください。
負荷への配線には、電線の電流容量やセンシングによる出力線の長さ制限(0.5V/リード)などを考慮する必要があります。以下の表を参考にして電線の太さを決めてください。
AWG | mm2 | 最大電流(A) |
---|---|---|
18 | 0.823 | 2.3 |
16 | 1.31 | 3.7 |
14 | 2.08 | 5.9 |
12 | 3.31 | 9.3 |
10 | 5.26 | 15 |
8 | 8.37 | 24 |
6 | 13.3 | 37 |
4 | 21.1 | 60 |
2 | 33.6 | 94 |
1 | 42.4 | 119 |
1/0 | 53.5 | 150 |
2/0 | 67.4 | 190 |
3/0 | 85.0 | 239 |
4/0 | 107 | 302 |
- 複数の負荷を並列接続する時は各々に配線してください。
- 誘導性負荷では負荷のキックバックから電源を守るために、電源の出力電圧と出力電流より大きい定格のダイオードを挿入してください。
- 放電や短絡を伴う回路を接続すると、製品の寿命を縮め故障する可能性があります。
放電や短絡の可能性のある回路に接続する場合は、出力に保護抵抗を付けてください。
正しい電圧の測り方
電源にも電圧を検出する機能を備えており、正しくこの機能を用いることで、負荷に正しい電圧を印加できます。そのために正確に電圧を測る必要があります。直流電源にて、負荷にかかる電圧を正確に測るにはリモートセンシング機能(端子)を使用します。リモートセンシング機能を使用すると、コネクタや配線における電圧降下を補償することが出来ます。
リモートセンシングの原理
コネクタや配線における電圧降下を無視できない場合に、電圧降下を補償するために使用します。
コネクタや配線にある抵抗分に電流が流れると、電圧降下が発生します。
Ⅴ0’=Ⅴ0-( 接触抵抗+配線抵抗 )×Ⅰ
電圧降下分を補償するためリモートセンシングを負荷の両端につなぐと、電源は負荷の両端で設定した値となるように出力します。
リモートセンスを使用する際には以下の点に注意してください。
- センシング線はインピーダンスが高いので、他の回路や配線の影響を受けないようにツイストペアやシールド線を使用してください。
- センス点に電解コンデンサを入れた方が安定に動作する場合があります。容量としては、0.1~数100μF程度で定格出力電圧以上の耐圧を持つ電解コンデンサを使用してください。
また、より高精度に電圧を測定したい場合には、別途デジタルマルチメーターなどを接続して測定することが出来ます。マルチメータの値が望みの電圧になるように直流電源の設定電圧を調整します。
複数台の電源出力を接続して使用する場合
直列運転
※ 複数の電源を直列に接続する場合は、その電源の取扱説明書などで最大出力電圧を必ず確認してください。
※ マスタスレーブコントロール時は、取扱説明書に従ってください。
図のように接続してください。
D1、D2は電源の定格出力に対し、逆方向電圧耐量、順方向電流耐量が十分なものを選定してください。
このような接続もできます。
各電源をリモートコントロールする場合は、コントロール電位が変わるので注意が必要です。
図のように接続した場合、それぞれの電源の立ち上がりスピードの差で一方の電源の電流が他方に流れ込み、定電流動作が動作して電源が立ち上がらないことがあります。
並列運転
複数の電源を並列に接続する場合は、電源の出力電圧に必ず差が生じるため、電流のバランスを取る必要があります。
※マスタスレーブコントロール時は、取扱説明書に従ってください。
図のように接続してください。
ダイオードの順方向電圧、電流特性を利用してバランスをとります。ダイオードは耐圧、電流、損失電力、放熱を考慮してご使用ください。
ただし、弊社PRTシリーズ、PBRシリーズはダイオード不要です。