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技術コラム

 
電源装置とは?電源装置の種類と用途|松定プレシジョン

電源装置とは

電源と聞くと、発電機や発電所、電池などのバッテリー、太陽電池を思われる方もおおいと思います。ここでの電源は、電気機器の動作に適した形態の電力に変換する電源装置(電源回路)について解説します。

電子機器の多くは、さまざまな電圧の直流で動作します。しかしコンセントから供給される商用の電源は、100Vや200Vの決まった電圧の交流です。この電子機器を動作させるためには、交流から直流への変換や電圧の変換などを行う電源装置(電源回路)が必要になります。例えば、身近な電源装置にACアダプターがあります。また、電子機器の中に組み込まれている電源は、AC/DC電源やスイッチング電源などと呼ばれています。電源回路の中には、直流から直流の変換を行うDC/DC電源と呼ばれている電源もあります。これらの電源は、出力電圧が一定で可変することが出来ません。

ACアダプター

ACアダプターは、家庭でよく見る電源装置です。パソコンなどの電子機器を動作させたり、スマホの充電機などに使われたりします。コンセントに直接挿したり、コンセントに挿すコードの先につながる四角いケースのような形状をしていたりすることが多いです。

かつては大きく重たいものが主流でしたが、電圧変換方式の変化により、近年では小さく軽いものがほとんどになりました。決められた電圧や周波数などを供給する装置のため、機器に対して専用のものを使用します。

ACアダプター
AC/DC電源
交流(AC)を直流(DC)に変換する電源装置の総称です。電子機器は直流で動くため、コンセントから給電される電子機器の電源回路に組み込まれています。ACアダプターもAC/DC電源の一種です。
スイッチング電源
AC/DC電源の一種で、交流を直流に変換する方法としてスイッチング方式を採用した電源装置です。前述のACアダプターの項で、近年のACアダプターは従来に比べて小さく軽くなったと述べましたが、これは、従来主流だったリニア方式からスイッチング方式に移行してきたことによるものです。
DC/DC電源
DC/DCコンバータともよばれる、直流を入力し、電圧を変換して直流で出力するための電源装置です。電子機器によって必要とする電圧が異なるため、それぞれの機器を動かすのに適した電圧に変換します。

電源装置の分類と用途

電気機器の開発や評価、製造には、さらにいろいろな電源装置が使用されます。

日常生活において、私たちはコンセントを電源として使用しています。ただ、コンセントから得られる電気は、瞬間的な電圧の低下などのノイズが含まれています。また、規格が決められており、50Hzまたは60Hzで電圧が100Vや200Vの交流の電気しか得られません。

さまざまな電気機器を作動させたり、テストしたりするためには、安定したノイズの無い電気や、さまざまな電圧、周波数の電気、さらに交流だけでなく直流の電気も不可欠です。このような電気を得るため、電源装置を使用します。

電源装置は、コンセントから得られる電気のノイズを除き、必要とされる電圧や周波数の電気に変換して供給する装置です。電源装置は、直流用と交流用、出力可能な電圧帯で種類が分かれています。

直流安定化電源

直流かつ安定した電気を供給するための電源です。松定プレシジョンでは、直流安定化電源を直流電源やDC電源と呼んでいます。次の高圧電源と区別する為、出力電圧が1000Vまでの製品を直流電源に分類しています。

電子回路の実験や、工場のラインにある生産機器を稼働させる電源、検査、研究に使う機器の電源として使われます。

また、バッテリーで駆動する機器の検査や試験において、バッテリーから供給される電気を再現する目的でも使われます。

直流安定化電源はさらに、回路方式によってシリーズレギュレータ電源とスイッチング電源に分類されます。シリーズ電源はリニア電源とも呼ばれ、入力された交流の電圧をトランスによって変換した後、直流に変換します。

一方で、直流に変換された電流を、コイルや半導体によって高周波の交流に変換し、再び直流に変換して制御するのがスイッチング電源です。

リニア電源とスイッチング電源の違いについては、「リニア電源とスイッチング電源の違い」をご覧ください。

直流安定化電源は、出力電圧と出力電流のどちらを安定させるかによって「直流定電圧電源」と「直流定電流電源」に分類されます。電源回路は一般に、オームの法則により、負荷(抵抗)が変化すれば電圧や電流が変化します。

そのため、負荷が変化した際にどちらを安定させるかによって回路の挙動が変わります。負荷が変化しても、出力電圧が安定しているのが直流定電圧電源で、出力電流が安定しているのが直流定電流電源です。

高圧電源

直流安定化電源の中でも、特に数千ボルトから数万ボルトを超えるような、高圧の電気を提供する電源を高圧電源といいます。

卓上やラックに設置できるものや、回路に組み込むためのモジュールタイプ、基板に実装するオンボードタイプなど、用途に合わせてさまざまな形状があります。また入力側がACのものとDCのものがあります。

高圧電源は、電子顕微鏡やX線検査装置、X線CTなどに使用されます。これらの装置では、電子を検出したり制御したりするために非常に強い電界が必要になるため、高圧電源を用いてその強い電界を作り出すのです。

また、このような装置は、電源の安定度が悪くノイズが多いと、得られる画像にもノイズが出るなどの悪影響が出ます。それを回避するために安定した電源が必要になってきます。

交流安定化電源(交流電源装置)

安定化電源の中でも交流を供給する電源です。直流安定化電源の場合、求められるのは主に電圧でしたが、交流安定化電源の場合には、交流波形が安定していることも求められます。

交流安定化電源には、ACスタビライザと周波数コンバータがあります。ACスタビライザは出力電圧や出力波形を安定させる機器です。一方で周波数コンバータは、出力周波数を一定に保ったり、任意の周波数を出力したりするなどの機能があります。

ACスタビライザには、スライダック方式やタップ切りかえ方式、位相制御方式があり、周波数コンバータにはリニアアンプ方式やインバータ方式があります。また周波数コンバータには直流の出力ができるものもあります。

種類 方式 小型 効率 コスト 応答速度 波形品質 その他特徴
AVR
ACスタビライザ
スライダック方式  
タップ切りかえ方式  
位相制御方式 × 信頼性が高い
発生歪が大きい
リニアアンプ方式 × × 出力波形品質がいい
CV・CF
周波数コンバータ
リニアアンプ方式 × × 出力波形品質がいい
自由なタイミングで出力電圧、
周波数を変化させられる
スイッチング方式 波形品質、サイズ、効率、コストの
バランスが良い
弊社交流電源 SRK,SRS,SRJシリーズ
インバータ方式
(単一レンジ)
直流の出力ができるものがある
インバータ方式
(ワイドレンジ)
直流の出力ができるものがある

:とても良い ○:やや良い △:あまり良くない ×:全く良くない

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