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技術コラム

 
レーザーとは?産業用機器への活用について解説|松定プレシジョン

レーザーとは?

レーザー(LASER)とは、Light Amplification by Stimulated Emission of Radiationの頭文字をとったもので、誘導放射による光の増幅という意味です。

一般に光にはさまざまな色が混ざっています。

つまりさまざまな波長の光が混在している状態ですが、レーザーでは、このうち特定の波長の光のみを取り出し発光させ、増幅させしています。自然界には存在しない、人工の光の一種です。

レーザー放出をさせる際にはまず、特定の気体や固体に励起光を当てます。すると気体や固体を構成する分子や原子の中にある電子が励起され、エネルギーの高い状態になるのです。励起状態にある原子は非常に不安定なため、エネルギーを放出して元の状態に戻ろうとします。

これを自然誘導放出といいます。さらに自然誘導放出された光が励起状態にある他の原子に衝突すると、同じ方向に光が放出されます。こうして増幅されることで、純度波長や位相が揃ったコヒーレントな光が出されるのです。

レーザーの特徴

レーザーは光の一種ですが、いわゆる自然界に存在する自然光や、一般的な照明から発せられる光とは異なります。レーザーだけが持つ特徴には次のようなものがあります。

  • 単一波長である
  • 指向性が優れている
  • エネルギー密度が高い
  • 干渉しやすい

レーザーではない通常光には、さまざまな波長の光が含まれています。また、光の向きや位相もそろっておらずバラバラに進んでいきます。しかし、レーザー光は単一波長からなる光であるため、一つのレーザーに含まれる光の色は常に単一です。

光の向きがそろっているため、広がらず高い指向性を持ちます。また同様の理由からエネルギー密度が高く、発生源から離れても通常光よりも、エネルギーは減少しませんエネルギーの減少が通常光よりも少ないです。

またレーザーには干渉を起こしやすいという特徴もあります。通常光と異なり位相がそろっているため、障害物に当たったりすると干渉を起こしやすくなります。通常光はさまざまな波長が混ざり合っているため、レーザーに比べると干渉が目立だちません。

レーザーと一般的な光の違い|松定プレシジョン
レーザーと一般的な光の違い

レーザーの種類と出力が比較的低いレーザーの活用

レーザーは、レーザーの発振源の種類により大きく次の4種類に分けられます。

  • 固体レーザー
  • 液体レーザー
  • 気体レーザー
  • 半導体レーザー

またレーザーには出力による分類もあります。出力による分類は「クラス」とよばれ、クラス1からクラス4までの中にクラス1Mなどの小区分があります。そのため全部で8つの区分に分かれています。

出力が比較的低いレーザーとされるのはクラス1とクラス2に分類されるレーザーです。発振源としては液体レーザーや一部の半導体レーザーなどが多く用いられます。特に半導体レーザーは、レーザーダイオード(LD)とも呼ばれ、手軽なレーザー光源として広く使われています。

液体レーザーには有機キレート化合物レーザーのほか、無機レーザーと有機色素レーザーの3種類があります。液体レーザーの特徴は、さまざまな波長のレーザーを発振できることです。つまり非常にカラフルなレーザーが作れるということです。

一方で液体レーザーの出力はあまり高くないため、舞台イベントの加飾などにも多く使われています。多彩な表現ができるだけでなく、レーザーの特徴である高い指向性があるため、イベント会場内をまるでビームを使ったかのように彩ることができます。

半導体レーザーは高い出力のものもありますが、出力を低くして使うこともできます。出力が比較的低いものが多く小さいことが特徴なため、レーザーポインターやレーザー式のマウス、レーザーディスクの読み書きなどに使用されています。

レーザーの中でも比較的出力が低いものの利用例としては、レーザー墨出器、LiDAR(ライダー)、レーザー距離計などの測定器、レーザー顕微鏡、センサーなどが挙げられるでしょう。出力が低いレーザーは基本的にレーザー光が対象物に跳ね返って戻ってくるのを利用するものです。

出力が低いため、レーザーが当たった対象を変質させることがなく、かつ指向性が高く干渉しやすいため、離れた場所に飛ばしたり、動きの変化を検知したりするのに向いているためでます。

クラス1やクラス2のレーザーは、集光していない状態であれば短い時間であれば目に当たったり、皮膚に当たったりしても問題のない出力レベルとされています。

出力の高いレーザーの活用

クラス3やクラス4に該当するレーザーは、出力の高いレーザーです。

出力の高いレーザーはエネルギーが高いため、対象物に当たると非常に高温になります。そのため出力の高いレーザーは、その熱で対象物を融解させたり蒸発させたりするために多く使われます。

出力が高いレーザーの活用方法としては、レーザーカッター、板金のレーザー加工(切断、穴開けなど、レーザーの熱で対象物を溶かし、それを吹き飛ばすことによって加工するもの)も多くあります。同様の加工としてトリミングやスクライビング(割断加工)もあります。

レーザーの熱で対象物を溶かして加工するものとしてレーザー溶接もあります。レーザー溶接では溶かした対象物は吹き飛ばさず、そのまま利用します。

また、対象物を溶かすのではなく表面だけを変質させるためにレーザーを利用しているのが、レーザーマーキングです。

レーザーによる加工は、レーザーを当てる位置の調整がしやすいことや、レーザーの強さの調節ができることが特徴です。そのため紙や木、金属の薄板などを、まるでレースのように繊細にカットすることもできます。

出力が高いレーザーを出せるものとして、固体レーザーや気体レーザー、半導体レーザーがあります。

固体レーザーにはYAGレーザーやYVO4レーザー、ファイバーレーザーなどの種類があります。また気体レーザーには炭酸ガスレーザー、アルゴンイオンレーザー、半導体のリソグラフィーに使われるArFなどのエキシマレーザーなどがあります。

ひとつの半導体レーザーから出るレーザーの出力はそれほど高くありませんが、LDスタックや、多数のLDを集光して高出力化できます。高い出力の半導体レーザーは光通信や医療器具、励起用の光源にも使われています。

クラス3からクラス4のレーザーは、対象物に当たると高温になるため、目だけでなく体に当たってしまうと非常に危険です。そのためレーザーを発する機械を有する施設や企業は非常に厳重な管理を行わなければいけません。

またレーザーが当たっているものを注視するのも危険ですので、使用する際には適切な保護具の着用が求められる場合もあります。