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用途・事例

「"空飛ぶクルマ"の実験に必要な電圧を細かく調整できる、
高圧電源装置をラインナップしているのは松定プレシジョンだけでした」

導入事例:慶應義塾大学 理工学部システムデザイン工学科 野崎研究室 様

慶應義塾大学 理工学部システムデザイン工学科 野崎研究室では、静音かつ高速で、イオン風によるプロペラのない"空飛ぶクルマ"の実現を目指し、高電圧を活用した新たな推進原理の確立や実験機の構築に取り組む中、松定プレシジョンの高圧電源装置「HARシリーズ 」を採用しています。その詳細について伺いました。

"空飛ぶクルマ"の実験に必要な電圧を細かく調整できる高圧電源装置をラインナップしているのは松定プレシジョンだけでした|用途・事例|松定プレシジョン

【研究室概要】パワーの流れを制御し、新たなシステムを創造する「野崎研究室」

野崎研究室についてご紹介ください。

当研究室では、パワーエレクトロニクスや制御工学、ロボット工学を基盤学問として、電気飛行機、非接触給電、センシング技術、人工知能、医療用ロボット等に関する研究を行っています。

具体的な研究テーマとしては、静音かつ高速で、プロペラのない"空飛ぶクルマ"の実現を目指す「電気駆動式"空飛ぶクルマ"の開発」をはじめ、送受電コイルの電気的な共振を利用した磁界共鳴方式を用いた「非接触給電」の研究。ロボットが人と接触し、人を傷つけないよう柔軟な制御を実現する「接触力制御」の研究。ロボットが多様な物体をマニピュレーションするための「多機能センサの開発」。電流値やモータの数理モデル等に基づき角度を推定しモータを駆動する「センサレスモータ制御」手法の研究。また、外科手術においては、遠隔操作型外科を支援する「医療用ロボット」の開発。歯科インプラント手術における骨の貫通検知や貫通時の「ドリルの自動停止に関する研究」など、幅広い分野となりますが、いずれも対象となるシステムを適切に捉え、パワーの流れを高度に制御することで、多様な機能を有するデバイスの開発に取り組んでいます。

慶應義塾大学 理工学部 システムデザイン工学科 准教授 野崎貴裕氏
慶應義塾大学 理工学部
システムデザイン工学科
准教授 野崎貴裕氏

研究室のモットーとしては、「大学に思い出を!世界に足跡を!」を掲げており、モデリング、アナリシス、シンセシスからなるシステムデザインの方法論を学ぶことはもちろん、研究を楽しむことや仲間との絆を大切に、日々の活動を行っており、世界に名を残すような成果を上げ、充実した研究室生活を送ってもらえればと思っています。

【利用状況】"空飛ぶクルマ"の開発に高圧電源装置を利用

HARシリーズを用いて実施している研究について教えてください。

イオン風やプラズマジェットなど、高電圧を活用した新たな推進原理の確立や実験機の構築に取り組んでおり、電気駆動式"空飛ぶクルマ"の開発に高圧電源装置を利用しています。
イオン風とは、電極間に電圧が印加された際に、イオン化された分子が電界によって加速することで生じる空気の流れです。プロペラのように高速に動く可動部を必要としないため、静音で堅牢な推進機構として実用化が期待されています。

現在、アルミホイルの平板の間に約20kV~40kVの電圧を印加する電源としてHARシリーズを利用しています。電圧の制御は、リモートコントロールで自動で変化させる制御プログラムをオリジナルで開発し、安定したイオン風を発生させるために最適な電圧電極の形、電極間の距離、そして最適な電圧の組み合わせを調べています。

"空飛ぶクルマ"の実験の様子|用途・事例|松定プレシジョン
"空飛ぶクルマ"の実験の様子

電圧を上げれば上げるほど、強いイオン風を発生させることができるのではないでしょうか。

その通りなのですが、電圧が上がると空気が絶縁破壊を起こして短絡してしまいますので、短絡しないギリギリの電圧を調べる必要があります。

研究室に設置されている高圧電源装置|用途・事例|松定プレシジョン
研究室に設置されている高圧電源装置
オリジナルのプログラムを開発し、電源装置をリモートで制御、実験を自動化|用途・事例|松定プレシジョン
オリジナルのプログラムを開発し、電源装置をリモートで制御、実験を自動化

【選定理由】電圧調整を細かく設定できる製品は松定プレシジョンの高圧電源装置だけ

HARシリーズを導入した経緯を教えてください。

実験には、電圧を細かく設定できる高圧電源装置が必要で、ネットで探し、他のメーカー数社にも問い合わせをしたのですが、電圧調整を細かく設定できる製品は、松定プレシジョンの高圧電源装置だけでした。

松定プレシジョンの製品はラインナップも豊富で、筐体もコンパクト。実験に最適な電圧装置を選ぶことができました。また、電圧のショート保護機能などの安全装置も備わっており、学生でも安全に使えると考えました。

製品の使い勝手はいかがでしょうか。

使い勝手に関しては、特に難しいところなどはありません。実験に用いるので、多少強引な使い方をすることもあるのかもしれませんが、製品自体は安定稼働しており、故障したり、動作がおかしくなったりするといったこともありません。電源装置として、「しっかり作ってあるな」という印象を持っています。

松定プレシジョンのサポート対応などはいかがでしたか。

電圧装置に関しては、複雑なシステムを組むわけではないので、わからないことがあれば、メールやWeb会議で対応してもらっています。電源装置を利用している学生からは基本的な問い合わせがあるかもしれないので、ご面倒をおかけしているかもしれませんが、対応がしっかりしているので助かっています。

ただし、設定のマニュアルの表記が専門的なので、私自身は問題ないのですが、慣れていない学生には少し難しく感じてしまうかもしれません。

【期待・要望】柔軟かつ迅速な対応に感謝

松定プレシジョンに対する要望や期待があればお聞かせください。

一般の企業とは異なり、手間ばかりかかるユーザーであるにも関わらず、松定プレシジョンの担当者は柔軟かつ迅速に対応してもらえるので、多くの場面で助けられており、とても感謝しています。これからも変わらない対応やサポートをお願いしたいと思います。

また、せっかくできたご縁ですので、互いの技術力や経験を活かし、共同研究を進めたり、協力しながら新しいことに挑戦できたりしたらうれしく思います。

お忙しい中、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

慶應義塾大学 理工学部システムデザイン工学科 野崎研究室
■所在地:神奈川県横浜市港北区日吉3-14-1
  • 取材日時 2024年5月
  • 記載の担当部署は、取材時の組織名です。
関連ワード:
  • イオンエンジン
  • イオン風
  • プラズマアクチュエータ
  • 誘電体バリア